デジタル化ということは、抽象化ということでもある。音楽は一見アナログのように思えるが、あの楽譜を見れば分かるように、無限に連続する音を一定のルールで「区切る」ことで、つまりドレミという音階に代表させることで、その多様な組み合わせが見事に音楽として成り立っている。「音楽は最も美しい数学である」と誰かが言っていたが、まさにその通りである。
もともとデジタル化は太古の昔から壁画と言う形で、実社会に存在していた動物や生活を抽象化して壁という記録媒体にデータとして保存していた。紙が発明された時には象形文字として言葉がデジタル化され記録されて来た。これらは、すべて知識のデータベースであり、記録するために現象を抽象化すなわちデジタル化してきたと考えることができる。
デジタルとアナログと2極化して、その功罪を比較するのは決して有効なことではない。世の中は、全てこの両方のバランスの良い組み合わせで成り立っているわけで、新しい発想とはこのどちらかに遍在した時に、それを打破する一つの切り口として、もう一方の知識や技術あるいは記録方法を見直してみるという柔軟な発想が求められているのだと思う。
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