2009年10月7日水曜日

平均的にものを見るということ

数字はとても分かりやすいから、たくさんのものや人が集まった現象の性質を知るときに、平均値を算出することは、ある集団の性質を代表するものとして有効ではある。


でも、それによって集団の構成要素である個々のエレメントの特質は消えてしまう。そこで集団をいくつかのグループに分け,そのグループの平均値の間に有為な差があるかどうか見ると,もう少し要素の「個性」が反映できる。


それが、平均値の差の検定という統計手法である。ただ、それもグループを構成している個々のデータが「大数の法則」、つまり平均値付近に多くのデータが集まって、いわゆる正規分布をしている場合に適用できる手法であるから,グループとしての個性はある程度反映されるものの、個々の特性は依然として抽出できない。


それでも、グループの構成を変えたり、特異データを見つける(標準偏差から外れたデータの発見)ことにより、ある程度、集団の性質や含まれる個々の特性が明らかになってくる。


このように技術としての統計手法だけに頼ることなく、ある数値をきっかけに対象としている集団や現象の特性を探る手がかりを得ることができる。パッケージ化された計算手法の結果を鵜呑みにすることなく、個々のデータが語ろうとしていることを,どれだけ引き出してあげるかは、分析する人の腕にかかっている。

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