石垣島に来てワンちゃんたちの散歩の時いつも感じることがあります。それは風のおしゃべり。遠くの方でざわざわと言ったかと思うとそれが急に近づいて来て、耳元でふぅっと肌を撫ぜて通り過ぎていく。それが、いつもだいたい決まった場所に来た時で、なんだかそこにけもの道のような風の通り道があるような気がしています。
それ以来、島に来て感じる風のことをいろいろ調べてみると、沖縄には随分たくさんの風にちなんだ言葉があることがわかりました。沖縄に限らず日本では様々な風に名前をつけていて2000以上もあることが、高橋 順子 (著), 佐藤 秀明 「風の名前」小学館に示されています。でもその由来については全て解説されているわけではなく、特に沖縄あるいは琉球に固有の風の名前については網羅されているわけではありませんでした。
そこで、これは自分で調べてみようと沖縄に関する文献を集めてみると、なかなか大変な作業になるなぁと諦めかけていたところに、すでに同じような趣旨で集められた「風」の話がまとめられた本があることが判明。しかしすでに廃刊になっていて、先日やっと古本の中から見つけネットで注文したものが今日届いたというわけです。
それが、三枝克之編著による「風に聞いた話 - 竜宮の記憶 -」角川書店です。
目次の後に最初に現れる言葉、それが「島にはいつも風が吹いている」という一文で、2010年に風の通り道というテーマでブログ(このhitoshigotoというブログとは別に)を書き始めた時に思っていたことを、見事に表現してくれていました。
しかも、この本は沖縄に特有の風の名前を解説的に取り上げるだけではなくて、風がいろいろな昔話や神話・伝説などを言い伝えられた通りに忠実に再現しているところが、とても興味をそそります。
例えば、今の季節の3月中旬であれば、低気圧や前線の関係で天気が急変することがあるのですが、それを旧暦に従って「二月風廻り(ニングァツィカジマーイ)」と呼ぶのですが、寒さの終わりを告げるこの春の嵐に聞いた話として、この風のために無人島に流れ着いた一隻の船にまつわる遠い昔の話が載っています。それがなんと「女性たちが月ごとに血を流すのは思いを遂げられぬまま死んだ犬の恨みなのだとか、、、、。」と、こんな具合に展開しているのです。
本を読まない私が、久しぶりに夢中になった嬉しい贈り物でした。
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