2017年2月18日土曜日

時間をおいてみる

「空間における人間の行動特性の研究」が、私の早稲田大学での半世紀の研究テーマでした。卒業論文で遊園地における観客の行動を追跡したのが最初のアプローチでした。当時の研究室のキャッチフレーズは「人間−空間系の研究」という名称でしたが、実は研究を始めた当初から「時間」も重要な要素でした。この3つの「間」を通して人間の暮らしや行動を見ていくことを念頭に研究を進めて来たわけですが、実は、この「時間」に必ず着目して調査分析をして来たことが、我々の研究グループの最大の特徴となっています。

人間の生活の履歴という比較的長いスパンもそうですが、ほんの少し前にどこにいたのかそしてちょっと先にはどこで何をしているのかを予測すること、それを科学的に説明できるようにして来た研究が、学会でも評価されて、その成果は群衆が集まる博覧会場の観客動線計画や不特定多数が集まる施設からの避難計画などに生かされてきました。

そのせいか、日常でも何かを観察したり、ものを判断するのに時間的な要素が気になります。日・月による変化や季節による特性の変化には特に興味があって、生き物の誕生から土に還るまでの全てのプロセスに関心があるのです。

今日は、その一つを発見して嬉しくなりました。前回、今年のお正月に家の近くで見つけたリュウキュウツチトリモチという、キノコのような寄生植物です。これまでもピンク色の可愛い丸い帽子のような姿は何度か見たことがあるのですが、これがこのあと一体どんな姿になるのだろうかにとても興味があったのですが、今回初めてその姿を見ることができました。例えば、雄花の花被は四枚で、成熟後に反り返るなどです。(写真右側が一ヶ月前の同じ場所で撮影)

物事は、ある一瞬の事象だけではなくて、時間をおいて見ることで、初めて全容がわかるというのは、この生き物の成長だけではなくて、社会現象の全てに言えることではないでしょうか?

2 件のコメント:

  1. ブログを再開されたとのこと、
    品のあるいい文章ですね。
    楽しみです。

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  2. 教壇を離れてみると、情報の発信の仕方や記録の仕方、特に伝え方にとても意識が集中して、これまでの方法が惰性ではなかったのか、一対多という教室での一方的な伝え方は、本当にあれでいいのだろうかなど、いろいろなことを思っているうちに、フェイスブックのように日常報告ではなくて、自分の考えや物の見方にとても興味を持ってくださる方も何人かいてくださることを知って、自分の素直な気持ちを伝える場としては、ブログもありかなと思ったわけです。しばらくは続けて見て最高しようと思います。

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