2009年5月17日日曜日

動くものを予測する

回帰分析あるいは重回帰分析という統計手法があります。たくさんの観測点に関する二つまたはいくつかの指標のデータをもとに、ある指標の値を推計するというものです。母集団が十分に大きく、またデータが正規分布に近い場合には、これほど単純に出来事を推計する方法はないような気がします。


この手法は、何しろ大雑把、エイヤっと一番たくさん説明できる式を作ってしまうのだから、まあ当たらずと言えども遠からず的な推計には良いかも知れません。「日本人の平均的な身長は何センチだから体重はほぼみんな何キログラムぐらいある」と言っているようなものです。そこには小柄で太っている人や背が高いけど痩せた人はいません。


しかし、毎月の体重測定や毎日の体の変化に応じた健康管理あるいはそのための環境設定を、一人一人の個性に合わせて実現するためには、このような静的な統計手法ではなく、時間の経過や今おかれている状況を反映した評価指標の推計方法が必要です。


動的な挙動の予測は工学の分野ではさまざまな方法が提案され、実際に生活の中で適用されています。動くスピードのよってもその予測手法は異なります。特に超高速で動いているものは直線や回転など幾何学的な軌跡を示すため、その方向を予測することは比較的容易です。しかし、風や人の動きなど、一見すると勝手にあるいはランダムに動いているように見えるものの動きを予測することは非常に困難です。


それでも、動きの中に一定の規則やルールを見つけると、次にはどの位置でどんな行動に推移するだろうかを数学的に予測することが可能となります。

0 件のコメント:

コメントを投稿